天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
僕の声に気付いたのか、男は橋に向けて、手を上げた。

「何から何まで、ありがとう」

アルテミアの右足が鞭のようにしなり、鋭い蹴りが、

男の左手を破壊した。

「え?」

あまりの速さに、男の目がついていけない。左手を確認したとき、アルテミアの蹴りは軌道をかえ、

男の顎を下から、蹴り上げた。

空中を舞う男の体は、こうを描いて、橋の影の中に戻っていった。

「さあ!お遊びは、終わりだ!お前の目的を教えろ」

明らかに、こいつらには目的がある。

魔になり、力に溺れているだけの人間とは違う。

(今の武器は?あんなものを仕込むことは、個人ではできない)

僕は、ピアスの中から、男を睨んだ。

「ククク…」

男は笑いながら、立ち上がった。

「ほお…」

アルテミアは、感心した。

「普通の人間よりは、頑丈だな…」



男は、立ち上がり、天を仰いだ。

「申し訳ございません…テラよ…。やはり…私の力では…勝てません…。しかし、木岐裕也の名において…ただでは、死にません」

立ち上がった木岐の全身が、放電を始めた。

スパークする木岐の耳元で、声がした。

「お前の力は、あたしには無意味だ」

いつのまにか、木岐の後ろに、移動したアルテミアは、木岐の背中に手をかざした。

すると、木岐の体から電気は吸い取られた。

木岐は驚き、体中を確認した。

慌てる木岐の首筋に、槍が差し込まれた。

木岐が放電しょうとしても、電気はすべて槍から、アルテミアに吸収されていく。

「さあ…襲った少女達は、どうした?そして……お前らの目的!テラの居場所を教えろ!」

斜め後ろから、凄むアルテミアに、

木岐は、肩をすくめた。そして、ゆっくりと口を開いた。

「我々はいずれ…この世界の頂点に立つ。その時の為に、人の未来をなくし、我々の数を、増やさなければならない」

アルテミアは、槍を押し付け、

「そもそも…お前らは、何だ?進化とは…」
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