天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「何だと!アルテミア様が!」

ギラは、高層ビルの屋上で、サラが告げた内容に、唖然とした。

サラは静かに頷き、ビルの端から真下を見下ろしながら、言葉を続けた。

「お前も気付いているように、この世界の大気は、汚れている…信じられくらいな」

ギラは匂いをかぎ、顔をしかめた。

「どんな環境にも適応できるように、つくられた我々と違い…アルテミア様は、純粋なる女神。この世界の穢れに対する免疫はない」

「しかし…この前、お会いした時のアルテミア様は、以前よりは強く…」

ギラの話を、途中でサラはさえぎり、

「だが…城で最後にあった時のレベルとは、違いすぎる」

「それは…確かに…」

ギラは考え込んだ。

サラは、空を見上げ、

「この世界に、神や魔物がいないのは…その為ではないのか?この世界の汚れは、ひどすぎる」

サラは、空から顔を背けた。

「人が支配し…魔物がいない世界は、ここだけだ」

ギラは、サラを見た。

「この無機質な世界…我々に、そんな観念はないが…人のいう地獄とは、ここではないのか?」

サラは両手を広げた。

「だとすれば…人から、目覚めたやつらは…」

ギラは首を捻った。


「やつらは、我々に似ているが、非なる者…魔物ではない」

サラの言葉に、ギラは頷いた。




「だとしたら…アルテミア様は!」

焦るギラに、サラは笑った。

そして、ビルから飛び立ち、

「アルテミア様のそばには、あいつがいる」

「赤星浩一か!」

ギラも納得した。

「やつが、真のバンパイアキラーなら…な」

サラとギラは、蝙の羽を広げ、さらなる大空に羽ばたいた。




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