天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「キラーフューチャー!」

男は、両手を広げた。

その瞬間、五人の男女が店内に飛び込んできた。

皆…赤いコートを羽織っていたが、脱ぎ捨てると、

各々の体を見せ付けた。

五人とも、手足のどれかが、義足や義手だ。

「殺せ!」

男の号令に、五人男女は、店内やいた人々に、襲いかかる。


「きゃ―!」

人々の叫びと、店内の棚やショーケースが倒れ、

仁志が並べていた商品も、床に転がる。

逃げる人々が、次々に殺されていく。

「や、やめて下さい!」

仁志は、命令した…目の前の男に、詰め寄った。

「どうしてですか?」

男は、目を丸くした。

「こ、これは…い、いけないことだから…」

口籠もる仁志に、男は顔を近付け、

「その割には…あなたは、心が痛んでいない」

にこっと微笑んだ。

「え?」

仁志は、自分の胸をぎゅっと押さえた。

痛んではいない。

そのことに気付き、仁志は自分に愕然とした。



「何をしてる!」

仁志のいる店は、ショッピングセンターの一角にあった。

誰かが通報したのか、警備員が走ってくる。

「佐々木…」

男はそばで、仁志の先輩を殺したばかりの女に、声をかけた。

女は頷くと、前に出て、

手を突き出した。

すると、左手の指先から、レーザーが放たれ、近づいてくる警備員を切り裂いた。

そして、レーザーはショッピングセンターの壁も、破壊した。


唖然とする仁志に、男は話し掛けた。

「我々は、あなたのような方々を守る為に、存在します」

男は、仁志の背中を軽く押し、前に促した。

他の二人も、指先からレーザーを店内で発射した。

店内に、火が上がった。

スプリンクラーが作動したが、レーザーは天井をも切り裂いた。


「さあ…行きましょう」

仁志は、男に促され、ゆっくりと店内から出た。

これから、何があるかわからないが…仁志の足が、自然と動いていた。
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