天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「山根様…」

仁志を促して、出ていく山根に、佐々木が声をかけた。

「指示どおり、警備室のモニターと、記録テープ類は破壊しました」

「有無」

山根は頷き、

「後は…任せた」

「は!」

佐々木は、敬礼した。

1人店内に残る佐々木を残して、仁志と山根…後に四人が続く。


「あの人は…?」

振り返り、1人残る佐々木を、仁志は不安げに見つめた。


「我々…キラーフューチャーは、進化した者達の中でも、安定できなかった…不安定な存在の集まりです。人の未来を殺し…進化した者を、守る」

進路の邪魔になる人々を、蹴散らしながら、山根は話し出した。

「我々は…あなた方と違い…不安定な為に、未来をあなた方とともに、生きることはできない」






燃え上がり、人々の死体が転がる店の前に、佇む佐々木は、

かけつけた警官達に、笑いかけた。

「動くな」

警官はすぐに、銃を向けた。

その瞬間、佐々木は義手につけていた爆弾を起爆させた。


周囲三百メートルは、跡形もなくふっ飛んだ。

警官達も、起爆させた佐々木も……肉片も残らずに、消え去った。





「我々はまだ…証拠を残すわけにはいきません」

山根は、仁志に話を聞かせていた。

暗く落ち込んでいる仁志に、

山根は微笑みかけた。

「今…殺したのは50人くらいです。あなたの価値は、心の弱い人間の50人以上…。それに…人は、50億もいる。今、死んだ数など…微々たるものだ…」

山根は、仁志に笑いかけた。

「さあ…行きましょう。新しい世界へ」

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