天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
僕は両手を握り締めて、

「ブルーワールドに戻ろう…」

アルテミアの力が発揮できないことに、薄々気付いていた。

もともとこの世界では、魔法は使えない。

だけど、自らの属性と生まれ持った魔力を使い、

アルテミアは戦ってきた。

それでも、汚れた大気と空気は、アルテミアの技を半減させていた。

ブルーワールドにいた三人の女神。

かつて防衛軍に所属していたロバートは、僕にこう語った。

女神は、天災であると。

水の女神マリーは、洪水や津波…寒波をもたらし、

火の女神ネーナは、火山の噴火や地震を起こし、

天空の女神アルテミアは、雷鳴や竜巻、台風を起こすことができた。

天災に対して、人は無力である。



だが、今のアルテミアに、天災を起こす力は…ない。

(この世界は……汚れている)

女神が住めない世界。


僕は、アルテミアの為に、ブルーワールドに戻ることを決意した。


僕は、右手を前に突き出すと、2つの物体…チェンジ・ザ・ハートが飛んできた。

2つの物体は重なり、剣へと変わった。

十字架に似た…白き剣。

シャイニングソード。

僕は剣を握り締めると、空間に突き刺した。


「待て……」

ピアスから声がした。

アルテミアだ。

少し落ち着いたようで、アルテミアは、ゆっくりと話しだした。

「お前は…この世界を見捨てるのか……ここは、お前が生まれた世界だろ?」


アルテミアの言葉に、剣を握った僕の体が、止まった。


「まだ…詳しくはわからないが……この世界は、危機的状況になろうとしているぞ…。それなのに…」 

僕は目をつぶり、シャイニングソードをさらに空間に押し込んだ。

「赤星!」

アルテミアの叫びに、僕も叫んだ。

「この世界より、アルテミアが大切だ!」



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