天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
苦々しくアルテミアを睨みながら、山根は五人に告げた。

「撤収する」

山根達は、アルテミアを意識しながら、その場から離れた。

戸惑う仁志を、横から二人が、腕に肩を入れると、

仁志は軽く持ち上げられ、中に浮かんだ。


アルテミアは微動だにせず、山根達の気配が、なくなるまで、立っていた。

が、気配を感じなくなると、

崩れるように、その場で片膝をついた。


「アルテミア!」

アルテミアの体は、全身汗だくである。

肩で息をするアルテミア。

顔色も悪い。


「モード・チェンジ!」

僕はピアスの中から、絶叫した。

アルテミアから、僕へと変わる。


「アルテミア!どうして、僕と変わった!」



ピアスから、息を整えながら、アルテミアの話す声が聞こえた。



「まだ…お前は……殺しては…駄目だ……」

アルテミアの言葉は、とぎれとぎれだ。

僕はただ…言葉を待った。


「まだ……あいつらのことは……わからない……。ちゃんと…調べてから………。お前は…」

アルテミアの声が、小さくなっていく。


「お前は……人を…殺しては……いけ……ない…」


「アルテミア…」


そのまま、アルテミアは意識を失った。

回復するまでは、アルテミアと話すこともできない。



僕は、どうしたらいいのか、わからず……

ただ下の地面を叩いた。


アスファルトで舗装された地面は、簡単に砕けた。


「僕は……どうして…」

僕は、自分自身に問い掛けた。

「この世界に戻ってきた」


ただ…ブルーワールドから逃げてきた魔物を、追ってきただけだったはずなのに…。


「あなたも、この世界の一部よ。人をどうするのか……それは、あなたにしか答えが、だせない」

突然、真後ろから声が聞こえた。

驚き、振り返ると、

舞子が立っていた。

「それは……力を持った者の…宿命」

舞子は、口元を緩めながら、消えていった。



「幻………?それとも……」

魔法は、体験したが、

幽霊は信じられなかった。

だとしたら…

それは……残った思念だろうか。

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