天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「どうしたの?」

僕の質問に、アルテミアは空を見上げながら、

「いつものやつだ」

少し呆れたようなアルテミアの口調に、僕はため息をついた。

「どうして…何だろ?」

「調子に乗ってるんだろ」

アルテミアは、雲一つない空を睨んだ。


ここ最近…携帯に来るメールの内容が、変わってきていた。

前は、化け物に狙われているが、圧倒的に多かった。

そして、化け物になったから、殺してくれになり………今は、

(化け物になったから、あなたと戦いたい。倒せるものなら、やってみろ)

と挑戦的な内容が多い。



「どう思う?赤星」

アルテミアの質問に、ピアスから少し悩んだ僕の声が、聞こえてきた。


「つまり…化け物となった自分を、肯定しはじめていると…」

アルテミアは、太陽を見つめながら、

「力に溺れ初めている」


ここ数日のメールは、こんな感じばかりだった。 



「あたし達を、誘きだそうとしているな」

アルテミアは、唇を噛み締め、

「舐められたものだ…」



「でも、誰が?」

僕の脳裏に、橋の下で会った男や、黒ずくめの男達…そして、ギラやサラ…リンネが浮かんだ。

ブルーワールドの他の…魔神かもしれない。

まだ僕達は、騎士団長を残し、ほとんどの魔神が、ブルーワールドに帰ったことを知らない。


「サラ達が、携帯を使って、あたし達を呼び出すことは、考えられない」

アルテミアは、水面から起き上がり、

爪先で水の上に立った。

顎に手をあて、考え込む。



そして、おもむろに口を開いた。

「赤星…」

「え?何?」


「魔獣因子って、何だ?」

アルテミアの問いに、僕は少し驚いた。

「そ、それは…」

僕も説明する為に、考え込んだ。

「魔獣因子は…人の未来なのか?」

アルテミアは、首を捻った。

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