天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「テラ…?」

ふらつきながら、崩れ落ちた僕のそばに、血よりも赤い瞳を、僕に向ける綾子。

綾子は微笑を浮かべると、持っていた日本刀の切っ先を、下に向けた。

「さよなら…お兄ちゃん」

クスッと笑うと、全体重をのせて、一気に突き刺そうとする。

「赤星!」

「ア、アルテミア…」

アルテミアの声に、僕は少し我に返った。

(そうだ…僕が死んだら…アルテミアも…)

だけど、噴水のように血が止まらない僕の体に、力が入らない。

(だめだ)

諦めかけた時、どこから飛んできた2つの物体が、綾子の持つ日本刀を折った。

「テラ様!」

2つの物体は、日本刀を折った後、立ち上がろうとした山根達を薙ぎ倒し、綾子の足を取ると、バランスを崩させた。

「赤星!今だ!言え!」


「モ、モード・チェンジ…」

僕の左手の指輪から光が溢れ、その中からアルテミアが現れた。

山根達を薙ぎ倒した2つの物体は、アルテミアの両手におさまると、トンファーになった。

「テラ…か…」

アルテミアは、バランスを取り戻した綾子を見つめた。

「……赤星の妹…」

アルテミアは、綾子をじって見つめたまま…その場からテレポートした。




「おのれえ!」

山根は、手に装備した銃をアルテミアに向けた。

しかし、その時には、アルテミアは消えていた。

「に、逃げただと!?」

自分の目を疑ってしまう山根に、

綾子は、鼻を鳴らしながら聞いた。

「今のが…天空の女神か?」

綾子の質問に、山根は銃を下ろすと跪き、

「は!」

と頭を下げた。


綾子はわなわなと、身を震わし、

「噂は…本当だったのね…。汚らわしい!」

「か、彼は…天空の女神と、融合しております」

山根の言葉に、綾子は瞳が、さらに赤く光る。

その瞬間、綾子の周りの空気が震え、

山根の黒いスーツが、ズタズダに切り裂かれた。

山根だけでなく、宮島達も切り裂かれた。

「テラよ!」


「許さない!」

綾子の赤い瞳から、赤い血の涙が流れた。




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