天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
数分、追跡劇は続き、

逃げていた男は、人影のない路地に入った。


神野と明菜が、路地に飛び込むと、そこに人はいなかった。

巨大な牙を突き出した…黒い体毛に覆われた化け物がいた。

化け物は神野達に、突進してくる。

「沢村さん!」

神野は、明菜の腹に右手を当てた。

すると、次元刀が飛び出してきて、神野は一気に、刀を抜いた。

「教えて貰うぞ!お前達の目的と、アジトを!」

化け物の突進に、次元刀を突き刺す神野。

次元刀を出すことしかできない…明菜。

戦う神野を、何もできずに、見守るだけしかできない明菜。

傷つきながら、鬼神のように戦う神野。


明菜は、胸を押さえながら、心の中で、叫んでいた。

(こうちゃん!)

この世界にいると思われる…幼なじみの赤星浩一。


(助けてあげて…みんなを)


しかし、明菜の言葉は、届くことはない。


彼の復活はまだ先である。

それまで、しばしの時を頂きたい。

そう運命が、加速する…その時まで。
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