天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
激しい雨の中で、僕は雨宿りの場所を探すではなく、ある臭いの先を探していた。

鼻腔を刺激するその臭いは、明らかに血だ。

雨の臭いと激しさにかき消され、殆んど匂わないが…僕にはわかった。

バンパイアである僕には。

(かすかに…漂っている)



その時、銃声が響いた。

それも、2発。

「赤星!」

アルテミアの声に頷くと、僕は跳躍した。

一瞬で、三階建ての家屋の屋根に、着地すると、僕は屋根伝いに、移動した。

また銃声がした。


臭いと音。

二つも揃えば、完璧だった。





事件現場に、降り立った僕の目の前に、三人の死体が転がっていた。

背中からナイフを刺され、死んでいる男と、そのそばでナイフを持ち、太ももと頭を撃ち抜かれた男。

少し離れて、背中を刺され、銃を握りしめながら、死んでいるスーツ姿の男。


共倒れを演出しているが、明らかに…別の犯人がいる。

僕は辺りを探したが、


犯人は見つからなかった。

一瞬、激しさを増した雨が、すべてを隠し、


すぐに空は…快晴へと変わった。



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