天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
魔物ではない。

明らかに人間だ。

しかし、その体から漂う…血の香りは尋常ではない。

「なぜ…人を殺す?今まで、何人殺したんだ!」

僕の問いに、男は優しく微笑んだ。

「チッ」

舌打ちすると、僕は男に近づいた。

今の男に殺意はない。

血のついたナイフと、女の死体がなければ、殺人者とは思わないだろう。

微笑みだけの男に、僕は詰め寄り、

「…どうして、僕にメールを送った」



しばらくの間があり、男はこたえた。

「君じゃない……。僕が、興味あるのは、噂のブロンドの女神……」

男の目が、僕を映す。

「女神……女神というからには、神なんでしょ?」

男は笑いから、さらに口元を緩め、

「神なら、聞きたい!人の中に、刻んだ…プログラムを」

「プログラム?」

「そう…プログラム……。僕に組み込まれたプログラム。いや、人にかけたプログラム。嫉妬、殺意、高揚に、興奮!孤独に、猜疑心…そして、どうやっても、満たされない心の隙間!」

男の口元から、よだれが糸をひいて落ちた。

「神は、なぜ…人をこうプログラムした?なぜ脆い!そして…」

男は両手を広げ、雨を受け、

「僕は、なぜ…人を殺しても、何とも思わないんだ?」
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