天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「どうして……」

(どうして…手術を受けた!!)

僕の心の叫びを、梨加に聞かせるわけにはいかなかった。僕は崩れ落ち、その場にへたりこむ。

彼女は、治る為に受けたのだ。普通なら、この中で、死ぬまで過ごさなけばならない。

それが、治ると言われたたら、

誰だって受ける。


僕の様子を見て、梨加は口を開き…話始めた。


「赤星くんが、話してくれた話が、好きだったの。ブルーワールド…未知の世界…」

僕は顔を上げた。

梨加は、ずっと微笑みかけてくれていた。

「その世界での冒険…。最初は、とっても弱かったのに……、最後は魔王とも、戦える勇者になったって…」

楽しそうに、僕のブルーワールドでの逸話を離す梨加に、

何か不思議なものを感じていた。

「だから…あたしも、ここではない…どこかで、強く、逞しく、生きたいの!どこか知らない世界で…」

「佐久間さん…」

梨加の気持ちは、良く理解できた。

「な〜んてね!」

梨加はペロッと、舌を出した。

「そんな…世界ある訳ないのにね」

梨加の切ない表情に、僕は胸が苦しくなった。

僕は思い切り、目をつぶり…考え込んだ。

(もし…彼女が、魔物の細胞を移植されてるなら……彼女は、この世界では生きられない…。だけど…)

僕は、ゆっくりと目を開いていく。

(ブルーワールドなら…彼女は生きられるじゃないか?)


僕の頭に浮かんだ…考えを、

ピアスの声が、否定した。

「それは、無理だ…。あの世界は、ここよりも、弱肉強食だ。彼女の性格なら、生き抜けない。それに…」

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