天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「赤星…」

あまりのショックの為、泣きながら動けない僕に、

ピアスの声は、叫んだ。

「泣いてる暇はないぞ!ベットの上を見ろ!早くしろ!」

ピアスの声に、僕ははっとして、自分の顔に、平手打ちをくらわすと、立ち上がった。

剣で、ビニールの壁を凪ぎ払うと、主を失った無菌室に入った。

ベットに近付くと、布団をめくった。

そこから現れたものは…。

「チッ!」

僕は、舌打ちした。

「赤星!下だ!」

ピアスの声に頷くと、僕は剣を地面に突き刺した。


ベットにあったもの……それは、木の芽だった。

剣を回転させ、ドリルのようにすると、

病院の床…天井を、何度も突き破り、


僕は、病院の地下室へと着地した。

「ここは…?」

地下室というより、あまりにも天井が高く…広い立体駐車場のような場所だった。

中は、真っ暗だったが、僕には関係なかった。

すべての様子を、見ることができた。

地下室の中央に、太い木の幹があり、そこから無数の枝が、上に向かって生えており、

枝は、天井を突き破っていた。

そして、僕が着地した床一面に、人が横たわっていた。

その人々の全身に、根が絡みつき…体中に突き刺さっていた。


近づこうとすると、人々に絡みついていた根の一本一本が、医師や看護師達に変わる。

「何をするつもりだ?」

てかった額の医師が、赤星に話かけた。

「ここにいる者は、もう二度と目を覚まさない者…寝たきりの者や…もう助からない者しかいない」

僕は、医師を睨んだ。

医師はにやりと笑い、

「つまり…助ける価値もない者達しかいない」

「それでも、お前はここを破壊するのか?」

地上に向けて伸びていた枝が、天井から抜けると、

患者達になる。

「我々は、外の人からは栄養を補給しない……」

「この病院の中…病院に運び込まれた者しか…」

「助からない者からしか…採取しない」


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