天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「た、助けて…」

まだ発病していなかった患者達が、腕が枝になりながらも、何とか這い出てくる。

その数、30人。

医師は、地面に潜ると、

サラの後ろに移動した。

「どうする?こいつらは、まだ人間だぞ!罪のない…」

医師が高笑いをしょうとした瞬間、風が通り過ぎ…医師の頬を切り裂くと、

後方にした30人の首や胴体が、真っ二つにキレた。

サラは、手刀を振るい、かまいたちを起こしたのだ。

「な」

絶句する医師に、サラは振り返り…無表情な横顔を見せた。

「それが…どうした?」



医師は、悟った。

魔神に、人なんかが足止めになるはずがない。


「もう…いい…」

サラの右手が、電気でスパークし、さらに輝きを増す。

「自分で探す」

そう言うと、サラは凄まじい威力の雷撃を放った。

それは一瞬で、

病院の瓦礫や人を消滅させた。塵一つ残さず。

それは、医師達…魔物もそうだった。

「フン」

鼻を鳴らすと、リンネは病院の跡地に背を向けて、ゆっくりと歩きだした。

病院は、小高い坂の上にあり、

サラは、ゆっくりと坂を下っていく。

「派手にやったな……。この世界の警察ってやつがくるぞ」

坂の中腹で、腰を屈め、町並みを見下ろしていた男が、立ち上がった。

「警察が来て…何か問題があるのか」

サラの言葉に、男は肩をすくめた。

プロレスラーのような屈強な肉体に、短髪の男は、振り返り、サラを見ると、

「角ぐらい隠したら、どうだ?」

「なぜ」

男の言葉に、すぐに返事が返ってきた。逆に質問された。

男は頭をかき…少し考えると、

「俺達は、この世界を侵略しろとは、言われていない。ただ…テラっていう…謎の女神を調べにきただけだ」

「それなら…私1人で、十分だ」

男の横を、サラは通り過ぎていく。

「待てよ!俺も、命令を受けてるだ」

サラは、足を止めた。

「どうして…こんな魔力を使えない人間ばかりの世界に…騎士団長が、二人もいる?」

サラは振り返り、坂の下から男を見上げた。

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