天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「別に構わないだろ…見られても…」

アルテミアは、足を止め…片目を閉じた。

周りを気にしながら、腕を組む。

どんなに美女だとしても、ブロンドの悪魔といわれ、民衆から恐れられていたアルテミアは、ブルーワールドでは、こんな熱い眼差しを向けられたことが、ない。

妙に、ポーズを決め、佇むアルテミアに、僕はため息をついた。

「あっあっ…あのお…。お楽しみのところ悪いんだけど……」

僕は咳払いをし、

「目立ってどうするんだよ!」

僕の言葉に、アルテミアは、

「そ、そうだな」

頷くと、妙に体をくねらせながら、ビルの中へを入っていた。

自動ドアをくぐると、

「モード・チェンジ」

アルテミアの姿が変わった。

ブロンドは黒に…瞳も、ブルーから、黒に変わった。

それでも、日本人には見えない。

監視カメラにも、映らないほどの動きで、アルテミアは敢えてエレベーターにも乗らず、階段を上がっていった。

フラッシュモード。

黒のスーツ姿になったアルテミアは、エレベーターに乗った美奈子よりも、早く劇団が運営している階に、降り立った。

一回転すると、スーツから黒のワンピース姿に変わった。

エレベーターを降り、こちらに向かって歩いてくる美奈子に、

アルテミアは微笑んだ。

「あのお〜劇団の方ですか?」

「うん?」

足を止めた美奈子の前に、立つ絶世の美女。

スラッと背も高く…プロポーションも完璧だ。

普通なら、女である美奈子も見惚れるはずだが、

美奈子は、アルテミアの美しさより、なぜか懐かしい匂いを感じた。

「どこかで……会いましたか?」

それが、美奈子の第一声だった。





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