天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜

幻夢

明菜の肩に乗せた手に、力を入れると、美奈子は外に促した。

練習中の劇団員を残して、廊下に出た美奈子は、誰もいないことを確認すると、

明菜にあるものを示した。

「それは……」

美奈子の手の平に乗せられた…カード。

美奈子は、カードを見つめ、

「あたし以外のやつのカードは、消えたけど…あたしのは、残った…」

明菜は、カードを見つめた。

詳しくは知らないが…このカードは、異世界のものだった。

「もう…何の反応も示さないけどね」

美奈子は、カードを握り締めた。

「これが、残ってなけりゃ…異世界なんて…信じなかったし…。まあ…あんたの話も、信じられなかっただろうね」

美奈子は、異世界に連れ去られた明菜を助けようと、異世界に行く覚悟を決めた。

しかし、赤星浩一が、連れて行ってはくれなかった。

「あれから……あたしなりに、このカードを調べてみた。すると…あることに気付いた」

美奈子は、手の平を広げると、カードを見つめ、

「カードは…少数だけど…あたし達の学校以外でも、配られていた…」

明菜もカードを見つめ、

「このカードは…異世界しか使えない……」

何の変哲もない…数字が並んだ電卓のようなカード。

「…カードを使うってのとは、違うらしい…」

美奈子は、カードの表面を指でなぞった。

「資格らしい……選ばれた資格」

「資格?」

美奈子は頷き、

「そう…。人以上であるという資格…」


「そんなはずはないです!確か…このカードは、人が魔物と戦うために…」

明菜の脳裏に、ブラックカードを持つクラークの姿が甦った。

彼は言った。

カードとは、魔力を持たない人が、魔法を使う為に、作り出したものであると。


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