天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
バスルームから出て、髪をドライヤーで乾かしていると、
携帯が鳴った。
ちらっとディスプレイを見ると、美奈子からだ。
明菜は、携帯を取った。
「はい」
「明菜か?…やっぱりな…いろいろ考えたんだが…」
美奈子の口調は、どこか思い詰めていた。思いを決めながらも、最後の一言をいうのを躊躇っていた。いや、美奈子が躊躇っているというより……美奈子の良心が躊躇っていた。
「先輩…」
それは、明菜も同じだった。次の言葉も、わかっていた。
だけど…明菜は黙って、美奈子の言葉を待った。
「気性だな…」
美奈子は、電話の向こうで頭をかくと、一呼吸置き、
「傍観者は、性に合わない!何が起こってるのか、事実が知りたい!」
ここで、美奈子は言葉を切り、
「だ・か・ら…明日から、探す!」
「明日から…探す?」
明菜は、意味がわからなかった。
「赤星浩一だよ!あいつなら、すべて知ってるだろ!」
美奈子の主張は、もっともなようで、もっともではない。
赤星が知っているかもしれないけど…彼の足取りをつかむことは、むずしい。
それに……。
「稽古は、どうするんですか?」
明菜の言葉に、美奈子はフッと笑った。
「…役者に、スタッフ…二人もいなくなったんだ。今から、人員を補充しても、納得するレベルまでには、仕上げられない…だから、断ったよ」
「え…」
それは、予想もしなかったことだった。
「実際には…あたしが、断ったのさ…」
美奈子は、ため息をつくと、
「あたしが、演出者から消えて、他の劇団との共同になる。まあ…簡単に言えば、責任問題だ。あたしは…仕上げることが、できなかったんだがらな…」
美奈子の頭の中で、春奈が主役を演じることに、ほぼ決めていた。
しかし、春奈は失踪した。
春奈の正体を知った時、美奈子のイメージは、崩れ去ってしまったのだ。
携帯が鳴った。
ちらっとディスプレイを見ると、美奈子からだ。
明菜は、携帯を取った。
「はい」
「明菜か?…やっぱりな…いろいろ考えたんだが…」
美奈子の口調は、どこか思い詰めていた。思いを決めながらも、最後の一言をいうのを躊躇っていた。いや、美奈子が躊躇っているというより……美奈子の良心が躊躇っていた。
「先輩…」
それは、明菜も同じだった。次の言葉も、わかっていた。
だけど…明菜は黙って、美奈子の言葉を待った。
「気性だな…」
美奈子は、電話の向こうで頭をかくと、一呼吸置き、
「傍観者は、性に合わない!何が起こってるのか、事実が知りたい!」
ここで、美奈子は言葉を切り、
「だ・か・ら…明日から、探す!」
「明日から…探す?」
明菜は、意味がわからなかった。
「赤星浩一だよ!あいつなら、すべて知ってるだろ!」
美奈子の主張は、もっともなようで、もっともではない。
赤星が知っているかもしれないけど…彼の足取りをつかむことは、むずしい。
それに……。
「稽古は、どうするんですか?」
明菜の言葉に、美奈子はフッと笑った。
「…役者に、スタッフ…二人もいなくなったんだ。今から、人員を補充しても、納得するレベルまでには、仕上げられない…だから、断ったよ」
「え…」
それは、予想もしなかったことだった。
「実際には…あたしが、断ったのさ…」
美奈子は、ため息をつくと、
「あたしが、演出者から消えて、他の劇団との共同になる。まあ…簡単に言えば、責任問題だ。あたしは…仕上げることが、できなかったんだがらな…」
美奈子の頭の中で、春奈が主役を演じることに、ほぼ決めていた。
しかし、春奈は失踪した。
春奈の正体を知った時、美奈子のイメージは、崩れ去ってしまったのだ。