GEDOU―樹守る貴公子―
「明道は明日に帰ってくる。そのときに・・・」
「・・・別に、呪詛でなくても方術で仕留めてもよいということですな」
男は何かを突かれたような顔をした。
「ようするにあなたは、呪詛だろうが方術だろうが、人知れずそ奴を始末できればそれでよい・・・そういうことなのですな」
「――――」
男は、天冥が冷たく放った言葉に、二度うなづいた。
「・・・承知した。ただし一つ」
天冥はすっと立ち上がり、こう言った。
「私はあなたのくぐつではありませぬゆえ、何でもあなたの言う事を聞くわけではありませぬぞ」
鋭利な毒牙のような言葉を残し、天冥はその場から消えた。