GEDOU―樹守る貴公子―



「渾沌は、ぬしをたいそう気に入ったと言うておる」


「ふぅん・・・」


「渾沌を式神にしてみてはどうじゃ」


 渾沌の性質は『善人を嫌い、悪人に媚びる』。


 道満の口ぶりは、勧めていると言うより、試しているようであった。


 確かに、渾沌を式神にすればこの上ないほどの力になる。


 しかし、天冥は何を思ったのか「やめとく」と間一髪入れずに即答した。


 道満は「ふふ」と満足げに笑った。



「ぬしらしい答えぞ。では、やはり・・・」


「ああ」



 天冥は、ぽんと鴉魔法師の肩に手を置いた。









「俺は、こいつを式神にする」

















< 138 / 157 >

この作品をシェア

pagetop