GEDOU―樹守る貴公子―
「渾沌は、ぬしをたいそう気に入ったと言うておる」
「ふぅん・・・」
「渾沌を式神にしてみてはどうじゃ」
渾沌の性質は『善人を嫌い、悪人に媚びる』。
道満の口ぶりは、勧めていると言うより、試しているようであった。
確かに、渾沌を式神にすればこの上ないほどの力になる。
しかし、天冥は何を思ったのか「やめとく」と間一髪入れずに即答した。
道満は「ふふ」と満足げに笑った。
「ぬしらしい答えぞ。では、やはり・・・」
「ああ」
天冥は、ぽんと鴉魔法師の肩に手を置いた。
「俺は、こいつを式神にする」