GEDOU―樹守る貴公子―



 鴉魔法師は、全く表情の無いその顔に、少しだけ驚愕の色を浮かべた。


 しかし、反論の意は見せない。


「共に闇に生きる孤独な生き物、手を組むには丁度よかろう」


 天冥は、「お前はどうじゃ」と問いかけるように鴉魔法師を見据えた。


 すると、鴉魔法師はしばらくぽかんとし、そしてどこか誇らしげに唇を吊り上げてみせた。


「御意」


 天冥はそれを聞くなり、勝ち誇ったような顔をした。


「百の鬼にも挑む者・・・お前は、百鬼(びゃっき)と名づけようかな」


 鴉魔法師、百鬼を見て天冥は言う。


 道満は上を見つめた。


「ふふん・・・。だとさ、渾沌どの。後でこの道満が異邦へと放ってしんぜよう」




 渾沌の唸る声は、満腹感と不服感が混じっていた。









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