GEDOU―樹守る貴公子―


「俺の話を、聞きたいか?」

「・・・ああ」

「ついでにこの話、独り言でも話したら、殺すぞ」

「疑うのなら、今に殺せばいい」


 はっきりと、言った。なぜなら本当の事だからだ。

 相手が話す事だけでも辛いことは明道も充分に分かっていた。聞けば必ず相手を傷つけてしまうとも、分かっていた。

 しかし、そうだからといって、放っておいて良いものか。

 なぜだろうか、聞いている明道からすると、妙な胸騒ぎと言うか、そんなものを感じてならないのだ。

 あの「外道と言う名の箱庭」に閉じこもった本来の心が何度か垣間見せられ、明道に『天冥に問う決意』をさせたのである。


「・・・」


 天冥はしばらく黙った。迷っているというよりかは、何かを考え企んでいると言った方が正しい。






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