GEDOU―樹守る貴公子―



 人に対する憎悪が、その心に灯った。


 貴族も、役人も、都人も全部。そして、自分自身も。もう人など、好きになるものか。


 憎い。怖い。痛い。つらい。


 皆、嫌いだ。


 多優の心は慟哭しながら叫んでいた。



 検非違使の役人をまいたすぐ後、多優はあるところで倒れこんでしまった。


 
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