GEDOU―樹守る貴公子―
「それでそこに足繁く通っておったのだが・・・」
「・・・死んで、しまったのだな」
「ああ」
天冥の言葉はあまりにも淡白で、無情であった。
明道にはその意味が分かった。心の奥底に、本心を隠している証拠だ、と。
「俺がいつもどおりあいつの家に行ったある日、死んでおった」
「どうしてだ」
「さぁな。ただ、死に際にあいつは俺にこう言いやがったのさ」
「なんと?」
「『あなたのせいです』――ってな」
「何だって?」
「俺がこの世に悔いはないかと確認して聞いたら、そう言ったのだ」
「――」
まさか。
明道はほんの砂利ほどの確立の仮定を立てた。
莢は、天冥―多優に、惚れていたのではないか。
表向きの残酷さではなく、奥に潜む無垢な幼さや、本来の多優の心を見抜き、感じ取ったのでは――?