GEDOU―樹守る貴公子―
「臆病者め」
『賢いと言え』
幻周の周囲を、十人十色の様々な姿をした邪魅が守るように立ちふさがる。
そのほとんどが紫色の黒々とした煙に似たものが取り巻いておりねっとりとした呪力を漂わせていた。「くそ」
天冥は構える。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」
九字を剣印で切り、結界を張る。
九字とは別称で「ドーマン」と呼ばれ、由来は蘆屋 道満と伝えられている。
結界の印ともされ、そのドーマンは陰陽道、兵法、修験道どれにおいても「最強」の意味を表すのだ。
しかし、方術と言うのは呪力で成り立っている。
中途半端な意志では方術は成り立たないのだ。
もともとの力などで、方術は決まらない。
どれだけ方術に込められた意志が強いか、それこそが、方術の成功を左右する。