ファンタスティック·レボルバー
「顕微鏡……」
「顕微鏡?」
柴本くんは、意味がわからないという感じの顔をしている。
「私、部活とかやってないから放課後は暇でね。でも、夏って日が長いから早い時間には帰りにくくて……。
そしたら、生物室にいてもいいって倉持先生が言ってくれたの。それで、顕微鏡が置いてあるのを見つけてね?
それから毎日、外を眺めながら、顕微鏡を触ったりして遊んでるの」
「顕微鏡って、何か観察してるの?」
「いや、そういうわけではないかな。触ってるだけだよ。何か、レボルバーが好きで……」
「レボルバーって、対物レンズがくっついてるとこ? レンズの倍率を変えたいときにくるくる回す?」
「うん……」
何だか急に恥ずかしくなって俯くと、柴本くんは声を出して笑った。
「でも、何でレボルバー?」
「……何か、響きが格好良くない?」
私がそう答えると、「響きかよ!」と言って柴本くんがさっきよりも大きく笑った。