ファンタスティック·レボルバー
「僕がここで下手に『大変だね』なんて言っても、二条の気休めにもならないよね。
僕の気休めにはなるけどさ」



慎重に言葉を選んで話す柴本くんを、私はただ、見ていた。



私が体育を休む理由とか、直射日光が目に入るのを避ける理由とか

今までにも聞きたがった人は、何人もいる。



でも、理由なんて面白くも何ともない。


しかも、後味の悪いものだと思う。



「中学の同級生の気持ちも、高校の人達の気持ちも僕にはわからないから、そのことに関しては何も言わないよ。言えない。
でも、僕が1つだけ言えるのは、僕が二条を傷つけることがきっとないだろう……ってことかな。
目のことで傷つけるつもりなんてないよ。
その代わり、もし何かあったら泣き付いて頼ってくれてもいいし」


「私、泣き付くキャラじゃないよ?」



優しい笑顔でこっちを振り向いた柴本くんにどきっとして、短い返事しかできなかった。


そんな私を見て、また彼は笑った。


「知ってる。僕、二条のこと結構見てるからね」


「えっ? 何で?」


「あぁ!……ぁ、いや、何でもない。……そんなことより、早く帰るよ!ほら立って!」



いきなり立ち上がって公園の出口へ歩き出した柴本くんを面白いな、と思いながら、私も慌てて追い掛けた。
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