ファンタスティック·レボルバー
「お前、本当にわかんねぇの?」
「はい」
そう答えると、倉持先生ははぁ、とため息を吐いた。
「続きは柴本に聞け。呼んどいてやるから。
あっ、今日も俺が施錠の当番だから。少しゆっくりしてけよ」
それだけ言い残して、先生は生物準備室へ入っていった。
外では、野球部がウォーミングアップを終えて練習を始めていた。
顧問の先生が、バッドでボールを打つ音が聞こえる。
声を張り上げて走る部員達の中に、柴本くんを見つけた。
ところどころ土で茶色に汚れた白いユニホームがよく似合っている。
必死に声を出す表情。
必死にボールを追い掛ける表情。
必死に頑張った後にときどき見せる満足気な表情。
野球に関する知識が皆無な私には、何をやっているかなんて全くわからない。
でも柴本くんを見ていると、不思議だけど私まで一緒にどきどきしたり、はらはらしたり
太陽の下を走っている気分になった。