ファンタスティック·レボルバー
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意外なことに、自分でも驚くほど早く時間が過ぎていたらしい。


気が付いたら、放課後になっていた。



でも、想像した放課後と現在過ごしている放課後とは、少し違う。



生物室の片隅で外を見ながら、意味もなく顕微鏡を触って過ごすのが、私の放課後だ。


でも今は、まだ暗くなっていない空が見える静かな保健室で、生温い布団に包まれている。



そして、この3時間の記憶がない。



最後に見たのは、白い丸いものと強い光。


それ以外は何もわからない。



だから、どうして自分がここにいるのかもわからない。

どうしてベッドの横の椅子に人が座っているのかもわからない。

また、どうしてその人がベッドに両手と頭を乗せて寝ているのかもわからない。



でも、この状況は紛れもない事実だ。



私の傍で寝ているのは、同じ2年5組の、柴本幸哉[しばもとゆきや]。



彼は、生物室の片隅からよく見えるグラウンドで毎日部活をしている、野球部員だ。
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