ファンタスティック·レボルバー
そして倉持先生は、大きく手を開いて柴本くんの背中をばしん、と叩いた。
「うぐぁ……」
よくわからない呻き声をあげた柴本くんを、先生がもう一度叩く。
「……ったぁ…………え?倉持っ!?」
眉間にしわを寄せながら体を起こした柴本くんは、倉持先生を見て明らかに嫌そうな顔をした。
「倉持先生だろーが。もう7時過ぎたから鍵掛けるぞ。この状況はよくわからんが……柴本は責任を持って二条を家に送れ。
掠り傷1つでも付けないようにな」
そう言いながら、倉持先生は柴本君と私を保健室から摘み出した。
「次は生徒会室かー」と呟きながら歩いていく先生の背中を茫然と見送った私達は、その後もしばらく保健室の前に立ち尽くしていた。
「あの、別に倉持先生が言ったことは気にしなくていいよ。もう遅いから、私は1人で帰れるし」
何となく沈黙が気まずくて、私は話を切り出す。
ゆっくりと私に視点を合わせた柴本くんは、ゆっくりと口を開いた。
「遅いから1人で帰らせちゃいけないんでしょ?今日の体育のこともあるし、送っていくよ。行こう」
柴本くんが、私の返事を促すように少し首を傾げた。
こくんと頷いた私に合わせて、彼が満足そうに微笑む。
そのままゆっくりと下駄箱へ向かって歩きだした柴本くんに、私はゆっくりとついていった。