初恋ストロベリー
「実は今日、暎が少し意識が戻ったんだ 話しかけたら
きっと、喜ぶよ」
暎のベッドの横へ行くと、機械と暎が管でつながっていた。
心拍数は、安定していた。
「暎?真衣だよ、ま・い」
しばらく黙っていたあたしの代わりに
芹が暎に言った。
「ま、い・・・・・・?あ、い、た・・・かっ・・・・・・た よ」
言葉が途切れているけど
言いたいことはわかる。
「暎、お大事に 芹、ごめんけどあたし帰る もう電話とかメールとか
しないで!? 暎が具合よくなったらいいね 敦也も
じゃ、バイバイ」
「ま・・・い」
暎の声が聞こえる。
もう限界だよ。
思い出す、あの日の事。熱い涙をこぼしても誰も追いかけて
来てはくれないとわかっていても、あふれ出た涙。
全く同じ。ホント、ここ2日くるったんだ。
人目を気にせずに、ぽろぽろ出てくる涙を
ハンカチで拭くこともなく、病室を出ようとした。
「真衣、もう同じ想いはさせないから」