初恋ストロベリー

「大野先輩」

緊張して、声が裏返りそうになったけど

なんとか呼べた。

「ん?」

眠たそうな顔で、振り向く。

「今日の課外後、屋上まで来て下さい」

「りょーかい」

のんびりとした声で返事をすると、男子の

輪に入っていった。

後夏祭りまで3週間。

怖いよ・・・。怖いよ・・・。

今日は、告白するんだ。

結果はどうであれ、言えればいい。

理想とは違うけれど、付き合いたいもん。

ドキドキしながら、課外は終わった。

真衣には、先に部活に行ってもらった。


落ち着け・・・。あたし。

落ち着け・・・。呪文の様に言い聞かせて

ゆっくり階段をあがる。

「キィー」

少し古いこのドアをあける。

屋上にある、ベンチに先輩は座っていた。

「先輩!」

空を見上げるように寝転がっていた先輩は体を

起こす。

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