クロス†ハーツ
…というわけで、私はほぼ無理矢理、風紀委員会に入れられたのです。
いや、ほぼじゃなくて、完全に無理矢理だ。
「尚人!あんたがね、ちゃんとしてないから!だから凛ちゃんが、風紀に入ることになったのよ!?」
「えー、そうなの?俺、知らなかったな、」
「嘘つけ!私と副委員長になったら、仕事するって断言したのは、あんたでしょ!?」
昔のことにふけっていたら、早菜さんの尚人へのお決まりのお説教がまだ続いていた。
それを見て、私はまたため息をつく。
風紀委員に入らされてから、ため息の回数が絶対多くなった。
「…凛ちゃん。大丈夫?」
「あ、雅矢くん…。うん、平気だよ」
雅矢くんが心配そうな顔で、私の顔を覗き込んでいる。
本当にこの中で、優しい人は雅矢くんしかいない。
あとは、みんな良い人だけど、なんか我が道突っ走ってる。
「あんまり無理しないでね?」
「うん、ありがとう」
雅矢くんが笑顔になったから、私もつられて笑顔になった。
少しだけ穏やかな気分になったのもつかの間、大嫌いな声が私を呼ぶ。
「おい、雨宮」
「な、なによ?」