クロス†ハーツ


水瀬が委員長の席である、視聴覚室の一番奥にあるいすに腰掛け、何かの資料を見ながら私に話す。
そんな態度にも、腹が立った。


「あのさ…、コレ、資料室まで持っていってくれない?」

「…はい?」


水瀬は、ある一点を指差して、私に言う。
その方向を見ると、なにやらたくさん紙が入ったダンボール。


「それさ、もういらなくなった資料だから、資料室に返しといて」

「コレ…、結構重たそうじゃないの?」


そう言いながら、私は指差されたダンボールに手をかける。




「だからお前に頼んだんだよ」




水瀬の呟いた声が耳に入った時には、もう遅かった。

ダンボールは思ったよりも数倍重くて、私は水瀬の呟きとほぼ同時に叫んだ。


「重た…っ!…何コレ!?」

「それ超重くてさ、俺でも無理。だから、運んで?」


水瀬は、やっと私を目を合わせた。
そして首をかしげながら、気持ち悪いくらいの笑顔を私に向ける。

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