クロス†ハーツ
*
私は廊下にダンボールを置いて、その横でため息をついていた。
「やっぱ、強がるんじゃなかった…」
水瀬のやつ。
これも計算の内に入ってたのか?
…計算高い奴だ。
だいたい、私だけ目の敵みたいにして。
私がなんか悪いことしたの!?
罪悪感と意地でダンボールを持ってきたことに、今さらながら後悔していた。
「重いって、これはさすがに…」
ダンボールを睨みつけて、私は独り言を呟く。
そして、またため息をついた。
「そんなため息…、幸せが逃げちゃうよ?」
「…え、」
いきなり声をかけられたので、声のした方に顔を向けた。
「あ、」
「雨宮、凛ちゃんだよね?」
「え、なんで…?」
その声の主は、私もよく知っている人だった。
整った顔立ちで、水瀬よりも数段優しいそうな感じ。
「なんで、生徒会長が私の名前知ってるの?」