クロス†ハーツ



カチャ。
視聴覚室の扉を開く。


「ただいま…」

「あ、凛ちゃん、おかえり。やっぱ、重かったよね?」

「…うん」


帰ってきた私に、雅矢くんが駆け寄って来た。
私は、生返事を返すことしか出来なかった。


会長は、あの後私をすんなり帰してくれたけど。
あの一言が、頭から離れなくかった。




私は、ふらふらと自分のデスクにつく。


「雨宮、ちょっと…」

「…え?」


意外な人物からの、呼び出し。
水瀬に呼ばれて、私は委員長の席の前まで行った。




「何よ…?」


水瀬の前まで来たは良いけど、さっきのこともあって、なんとなく目線を合わせられない。


「雨宮、何があった…?」

「え、」

「何かあったんだろ?…話せよ」




どうしてだろう。
奴は、本当にサドで嫌なやつだけど。

たまに優しいんだ。
とても敏感なんだ。

だから、私は嫌々言うわりに、ここに入り浸っているのかも知れない。




私は、先ほどの会長の発言についてを、水瀬に話した。

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