クロス†ハーツ
「坂下のやつ…」
私がポツポツと話している間、水瀬の機嫌は少しずつ悪くなっていき、話し終える頃には、ダークなオーラが纏わりついているような感じになっていた。
「仲、悪いの…?生徒会長と」
「いや、それは…」
恐る恐る聞くと、水瀬は言葉を濁す。
すると、後ろでいつの間に私の話を聞いていた早菜さんが、私の前に現れた。
「立場柄ね、対立しちゃうのよ。生徒会長と風紀委員長はね」
「え、」
「だって、風紀委員会は昔の生徒会長の職務怠慢から作られたわけだし、生徒会と風紀委員会は、うちの学校じゃ同等に扱われてるから。生徒会からしたら面白くないでしょ?」
「なるほど…」
早菜さんの詳しい説明に、心から納得していると、今まで座って考え込んでいた水瀬がいきなり立ち上がった。
「どしたの…?」
少し驚きつつも問うと、水瀬は何やら難しい顔をして応えた。
「ちょっと、出てくる…」
「へ!?」
私のオーバーリアクションにもまったく反応せず、水瀬はそのまま視聴覚室を出て行った。