クロス†ハーツ
*
「今日も元気だねー、凛ちゃん」
「あ、あぁ…」
「ありゃ、起きてから十分もしないうちに出てったよ」
今さっき凛が出て行った玄関を、俺は唯と二人で眺めていた。
最近、新学期に入ってから、凛は今日のように朝早く家を出ることが多くなった。
風紀委員に選ばれたからだ。
「なんか高等部は大変そうだね…」
「そうだな。風紀があんな大変そうじゃ、生徒会もあんな感じだろうな」
「中等部は大丈夫なんでしょうかねー、生徒会長さん?」
唯が俺の顔を覗き込みながら、嫌味っぽく笑っている。
俺はそれを素早く振り払った。
「お前だって、生徒会書記だろ?…同じだろ」
「あら、会長と書記じゃ相当違くない?」
「…」
「うわ、シカト!?」
俺は唯の言う通り、シカトを決め込んでリビングに戻った。