クロス†ハーツ
水瀬、焦ってる…?
なんだかいつもと、違う。
目の前にいる水瀬を見ながら、そんなことを思った。
雅矢くんに止められた水瀬は、なんとなく我に返ったように見える。
「ごめんね、凛ちゃん。文化祭の資料を見てたら、中等部の生徒会のメンバーの資料が出てきてね」
訳が分からず、水瀬と雅矢くんを交互に見ていた私に、雅矢くんが優しく声をかけてくれる。
雅矢くんのその言葉で、私はなんとなく大体を理解した。
この学園の文化祭は規模が大きくて、中等部と高等部が合同で行うのだ。
だから、中等部の中枢である生徒会の資料があったんだろう。
雅矢くんはさらに話を進める。
「で、会長の名前が〝雨宮〟だったから、もしかしたら凛ちゃんの弟さんかもしれないって話をしたら、薫がびっくりして固まっちゃって…」
「おい、雅矢。それ以上言うな」