クロス†ハーツ


早菜さんの言葉で、水瀬も私を問い詰める気が失せたらしく、気付いた時には最初の真顔に戻っていた。


「で、お前の弟なの?」

「あ、うん…」


水瀬の質問に答えると、奴は黙り込んでしまった。まったく、訳の分からない奴だ。
私は気付かれないようにため息をついた。


「妹さんも生徒会だよね?」

「うん。妹は書記、だったかな」


雅矢くんの質問に答えると、即座に尚人が割り込んでくる。


「は、雨宮、お前…、妹もいるのかよ」

「双子なの。だから2人とも2年生」

「へー…。男女の双子なんて珍しいわね」


不意に会話に参加してきた早菜さんは、いつの間にか資料に目を向けていた。


その朝は、そのまま葵と唯の話だったけど、水瀬が会話に入ってくることはなかった。

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