クロス†ハーツ


「え、誰…?」


そう呟いて、声のした後ろを振り向くと同時に、黄色い声が響いた。
その時、私の体に寒気が走った。


「み、なせ…」

「あら、委員長さん」


無意識に眉間にしわを寄せる私とは反対に、隣の小夜はのん気に呟いている。

水瀬が私のクラスに来る時は、たいてい良いことがない。
私は、自分が何かやらかしてしまったか、頭の中で高速スピードで考える。

そんなことしてる間に、水瀬は教室の中に入ってきて、私の前まで来ていた。


「雨宮さん…」

「…は、い…?」


笑顔の水瀬の目は、明らかに笑っていない。私の体はさらに硬直する。


「委員会をサボるなんて、良い度胸だね…?」

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