クロス†ハーツ
「俺、言わなかったか?」
「え、」
間抜けな声を出してしまった。
水瀬が言った言葉が、あまりにも予想外だったからだ。私はてっきり、サボったことへの文句が来るものだと思っていた。
「だから、朝に言わなかったか?この時間、委員会があるって」
私が答えられないでいるのを見て、水瀬は面倒そうな顔をして頭を掻いて、もう一度説明した。
それを見て、私は我に返った。
「あ、うん…。聞いてなかった、よ?」
「…そうか」
やっとのことで言葉を紡ぐと、水瀬は目をそらして呟いた。
こんな水瀬は初めてのような気がする。
そして終いに、水瀬は信じられない言葉を発した。
「悪かった、な…」