クロス†ハーツ
信じられなかった。
水瀬が私に謝る日が来るなんて。
「え、何、謝ってるの?」
あまりにも目の前の状況が信じられなくて、私はこんな言葉しか言うことが出来なかった。
水瀬はバツの悪そうな顔をして、横を向いている。
「…とりあえず俺は言ったからな。お前は仕事しろ」
「は…?」
目を合わせないまま、水瀬は訳の分からないことを呟いている。
意味が分からなくてつい水瀬を挑発してしまうような声を出してしまった。すると、水瀬はこちらを向く。顔はいつもの意地悪な顔。
「だから…っ、俺は謝ったんだから、お前は黙って視聴覚室で仕事しろ」
「な、何それ!?謝ったから感心してれば、すぐにいつもの調子に戻って――」
そこで私は言葉を切った。
水瀬の顔が、あまりにも気味の悪い笑みで歪んでいたから。