クロス†ハーツ
「な、何その顔」
私は平静を取り戻して、水瀬を睨みつけた。
相変わらず奴は、いつもの意地悪なサディスト顔である。こうなると、コイツはしつこい。
「そういえば、さっきから気になってたけど、」
「え…?」
水瀬がいきなり話を変えるので、聞き返した。
しかし、悪い予感はしたまま。水瀬の顔も意地悪なまま。
「その紙袋、何入ってんの?」
「え、袋?」
水瀬が私の手元を指差す。
そこには、私が水瀬に強制連行されている間も、無意識に持ち続けていた紙袋。
「あ、これは…」
私はそこで言葉に詰まってしまった。
この中には、さっき小夜に着ろと命令された猫セットが入っている。
そんなことが知られたら、確実にからかわれる。
「えっと…」
「見せてみろ」
水瀬はそう一言言って、私の手から紙袋を奪う。
「あ、だめ…!」