クロス†ハーツ


「いや…、あれは来れなくて良かったよ…」


私は今日一日を振り返って、ため息混じりに呟く。


「あ、やっぱ凛ちゃん、猫やったって本当なんだ?」

「え、なんで知ってんの!?」


唯の言葉に激しく動揺する。


私話してないのに…、なんで知ってるの…?




「今日、中等部に理久さんが来てね、」

「か、会長…?」

「そう、高等部の生徒会長。明日の中高合同イベントの打ち合わせでね。その時に教えてくれたよ?」

「なんで会長が、猫娘のこと知ってんの…?」

「なんか高等部で噂になってたって」

「え、」


私は絶句してしまった。




うわさ…って…!
信じられない…!

ていうか、こんなこと知られたら、また水瀬にバカにされる…!




『そんな格好で、襲われんじゃねーぞ』




不意に、さっき耳元で言われた一言が蘇る。

あの一言で私は、何か毒されてしまった気がする。


……水瀬の声が、離れない。



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