女王様のため息
コンパで運命の人と出会ったとはしゃぐ貴和子の明るい雰囲気に助けられて、私が司に対して感じている不安感や後ろ向きな気持ちをその場にさらけ出すことはなかった。
海から厳しい言葉を投げられた司が、その言葉をどう受け止めたのかが気になるし、海にとって私の存在がとても大きなものだとわかって複雑に揺れる気持ちをうまく処理できない。
司と美香さんとの繋がりを海に話していたせいで、海が落とした司への言葉は辛辣だった。
美香さんとの関係を綺麗にしなければ、私との未来は認めないと、はっきり言い切った海。
私と海は、高校時代から恋人同士直前、と言われながらの付き合いを続けてきて、私達本人もいずれはそうなるんじゃないかと思いながら寄り添っていたけれど。
はっきりとした関係に発展する前にお互いの兄と姉が結婚して親戚となり、周囲とのしがらみを考えて、恋人という選択肢を捨ててしまった。
まだ高校生だったあの頃。
お互いに何を言うわけでもなく、ただ自然にそう結論を出して、恋人への道は選ばなかった。
それぞれの家族はとても仲がいい家族で、お互いの兄と姉の結婚を心から喜んだ。
そして、幸せな家庭を築いて欲しいと願い、その結婚が順調にすすむように協力は惜しまなかった。
既に顔見知りだった両家の関係も良好で、私と海が同じ高校の同級生だという事も手伝って、その結婚を祝福する声ばかりが聞こえてきた。
そして、私と海は、自分たちの淡い恋心を貫いて恋人同士になるという
『賭け』
から降りた。