女王様のため息
時計を見ると、5時を少し回ったばかり。
普段ならもう少しゆっくり寝ていられる時間だけど、司が一旦自宅に帰るのならそろそろ起きた方がいいんじゃないかな。
ゆっくりと起き上がって、司の腕から抜け出そうとすると、その途端にぐいっと抱き寄せられて司の腕に逆戻りした。
「ちょっ、司、そろそろ起きた方が……」
「ん、わかってるけど、もう少し」
寝ぼけた声で私を抱きしめながら耳元でそう呟く司の声に、夕べの熱を思い出して体中が熱くなる。
無意識に震える体が司の体に伝わったのか、
「ん?まだ足りない?」
くぐもった笑い声が聞こえて、私を抱く力が更に強くなった。
「つ、司、えっと……」
「俺は足りないんだけど。何年も我慢してたんだから、一晩じゃ取り戻せない。
ようやく真珠の全部を手に入れたんだ、これからずっと一緒にいたいんだけど」
……昨日、初めて知った司の一面がまた現れた。
どこか本心を隠して斜めに物事を見ているような、あっさりとした距離感を作っていたのは嘘だったとわかる。