女王様のため息

部長は、私の言葉に笑って

「家族には伝えても構わない。……というか、相手は恋人か?」

「は?」

冷やかすような声の部長に驚いて、間抜けな声が出てしまった。

「女王様には色恋が不足するもんだけど、とうとううちの女王様にもその時が来たのか?」

「色恋……」

突然飛び出したそんな言葉に、私は思わず口を閉ざしてしまった。

普段からそんな話題を振ってくるタイプの人ではあるけれど、私に関しては、恋愛に絡むあれこれについて言及された事なんて記憶にないし。

「設計のあいつか?」

「あ、あいつ……」

「相模の後継者とか期待されてる男前。真珠さんとよく一緒にいるから、もしかしたらと思ったんだけど……。その顔は、正解みたいだな」

……してやったりというのは、こんな顔だなと、部長を見ながらそう思った。


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