女王様のため息
海からのコンパ終了の報告を受けて、電話越しに何度も頭を下げた私は
『今度何でもお願い聞くから、今日の怒りはぐっと胸におさめてちょうだい』
となだめた後、ぶつぶつ呟いている海からの会話を丁寧に切った。
多分、何かおごらされるか買わされるか。
……まあ、仕方ないか。
コンパの幹事を押し付けちゃったもん。
海は誰か気に入った女の子いなかったのかな。
ぼんやりしながらほっと息をつくと、『そろそろだぞ』という司の声が聞こえた。
「海くんって、彼女いないのか?」
「あ、うん。最近はいないみたい。あれだけ見た目いいから本人がその気になればすぐに彼女できると思うんだけど、最近はその気がないって言ってる」
「ふーん。遠目から見ただけだけど、男の俺から見ても格好良かった覚えがある。……会社に真珠を迎えに来ていた時だったかな」
「あー、そうかも。よく来てくれて一緒にご飯食べに行くから」
私の会社と海の会社は一駅離れた距離にあって、帰る時間が重なった時には車で迎えに来てくれてそのまま遊びに行ったり食事に行ったりはしょっちゅう。
だから、司がその様子を見かけていても不思議じゃない。