女王様のため息
海に彼女がいない間だけのそんな楽しい時間が今も続いている。
そういえば、海に彼女がいないのって、2年くらいかな。
もてない私と違って、女の子からの積極的なアプローチが絶えない海にしては一人の時間が長いような気がする。
「真珠、おい」
「あ、ごめん、何?」
司の声に視線を上げると、相変わらず不機嫌な司の視線とかみ合った。
「何、じゃねーよ」
「へ?……あ、写真?写真の事まだ怒ってるの?だめだよ、男ならいい加減諦めてよ。あの写真は私の秘密兵器なんだから、大切に使わせてもらいます」
「……写真の事じゃないよ。ったく、海、海っていっつも……」
あからさまに不機嫌な声。
ぶつぶつと独り言のように文句を呟いている司は、どうしてか『海』と何度も口にしていた。
どうして海の名前が出てくるのかわからない。
「司……?そんなにお腹すいてるの?怒ってばかりじゃ余計お腹すくよ」
「……はあ。バカか……」
呆れたように息を吐いた司を見つめて、首を傾げながらも。
今こうして司と二人でいられる事に嬉しさも感じることも確かで。
司の彼女に対する後ろめたい気持ちに今だけ蓋をした。