女王様のため息
「あー、やっぱりいいよ。緊張してるはずだし、食欲なんてないよきっと」
横顔が普段よりも硬いな。
車で来てるからお酒も飲めなくて、気持ちを緩める事もできないから仕方ない。
おしゃべり好きな父さんのペースに合わせてくれるように相槌を打つ姿に、少し申し訳なってくる。
私と結婚する事を決めて、まず私の両親に挨拶してくれた気持ちも、異動を控えて不安な私のマイナス感情も。
『何てことないだろ。どう転んだって、離れるつもりはないから』
と言い切って、私が持っている落ち着かない感情全てを払拭してくれた司。
私との結婚に向けて、こうして頑張っている司を見つめていると、嬉しくて、幸せな気持ちになる。
一旦気持ちがかみ合って、将来への覚悟を決めれば、今まで気づかなかった自分の強さを知る事になる。
その強さを導いてくれたのは、司が私に向けてくれるぶれない想いによるものが多いことにも気づいて、更に司の事が愛しく思える。
そして。
そんなにも愛しい司から愛してもらえる自分って幸せだと。
この穏やかに流れる時間の中で感じずにはいられなかった。